独白
共感者
使えないきつね
浮気性の男と女
半透明



共感者



     刀を奪われた士族は
     どんなに不安だっただろう
     今まで誇りにしてきたものは
     全て無駄だと知らされ
     周りからは「当然」という目で見られる

     みんな分かってない
     ただ黙々と苦労して働いている人間が
     一番強いってことを

     刀なしで生きる方法を
     誰が教えてくれた?
     せめて子供の頃に戻れるなら
     こんなに怖がらなくてすむのに

     刷り込まれた教えの
     反対を生きなければならないとき
     流した涙は・・・何の涙?

     平成の世に 女が一人
     大久保利通に問いかける
     「どう生きればいい?」

     答えはいらない
     ただ、一緒に泣いてくれたらいい



使えないきつね


    使いにくそうなきつねが
    やいやい話しかけてくる
    どうやら自分の使い勝手の良さを
    アピールしてるようだ

    あんまりうるさいので
    試しに使おうとしたら
   「使うな!」と怒り出した

    仕方がないから手を引っ込めて
    背中を向けたら
   「無理なんだ・・・」
    とつぶやく声がきこえた
    振り向くときつねは石ころを蹴っていた

    やっぱきつねは使えるのがいいよな
    そう思って歩き始めたとき
    一瞬、頭の中を石ころが横切った

    ある夏の出来事だった



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