第三回 コトバコ

2004/06/12 白山 jazzspot映画館
http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/

 今回は聞く側に徹していたので、皆さんの朗読を落ち着いて味わうことができました。前回は、緊張のあまり「心ここにあらず」状態でした・・・今回、あまりにも素晴らしい朗読がいっぱい聞けて、何にしぼってよいのか困ってしまったほどです。

 まずは印象深い方々を一言で・・・

・ ジュテーム北村さん
入って来られたときから作品!みたいな空気を出せるってすごいですね。良い意味で、そのときの印象を裏切らず、朗読につながってます。思わず掛け声をかけてみたくなる感じでした。

・ カワグチタケシさん
主張しすぎず、静かに座ったままで読まれているのに、しみてくるのは何でしょう。「男性のもつ繊細さ」がとてもきれいに伝わってきました。

・ いとうさん
流れがちなリーディングにおいて、内容で聞かせる代表のように感じました。何重にも隠された意味を皆で解いていく楽しさ。また考える時間を与えるような間の取り方が見えた気がします。

・ 死紺亭柳竹さん
練り込まれたものの美しさっていいですね。勢いで引き込まれるのは確かなので、そのまま流されてゆくのもよし。でも「おや?」と思わせる部分を挟んであって、時にマニアを喜ばせたり、サービス精神が感じられました。

(ゲスト)
・玲はる名さん
詩「今しかない」について。花火のような朗読だと思いました。クライマックスに向けて、声のはじけ方が勢いを増して気持ちよかったです。

・ 河井 澪さん
全体的を通して、淡々として、声を放った後の余韻が木琴系の楽器のような響きをしていました。

次に、第三回コトバコにおける関西弁について

今回のコトバコにおいて、いろんな種類の関西弁が登場し、とても興味深く聞かせていただきました。ワタクシ、兵庫県出身・・・どうしても気になってしまうものですね。

・まず、SSWSのレビューにも書かせていただいた、しげかねとおるさん。私にとって最も親しみ深い関西弁。出身地がお隣の町なんですね。彼は作ってない関西弁なわけで無理がなく自然です。で、ここで述べたいのは兵庫県阪神地区の関西弁です。実は最も個性のない関西弁だと思っています。言葉の語尾やイントネーションは関西なんですが、大阪弁ほど抑揚激しくはなく、特徴的な言葉は少ないです。いわば標準語の関西アレンジみたいなものです。そういうわけで全国的にとっつき易い関西弁だと思われます。しげかねさんの朗読が関西弁でシャウトしようが、笑いを誘おうが、押し付けがましくなく、自然なのはそのせいだと私は考えています。(参考:全国受けの良い芸能人に兵庫出身多し。)

・次に、村田活彦さんの二番目に読まれた詩。「さくらさく・・・」といものだったでしょうか。柔らかい独特の抑揚が京都弁を思い起こさせました。『村田さんは子供時代を兵庫で過ごしたはず・・・』と思い、「あれは京都弁ですか?」と問うと、「いえ、意識はしてません。」と言われ、疑問符が私のアタマに並びました。すると村田さんが「親戚が京都です」と付け加えられたので、妙に納得しました。とても古風で美しい印象のリーディングでした。

・最後に、木棚 環樹さん。大阪梅田(いわゆるキタ)のアーチストという、こだわった設定に興味かったのですが、皆さんが大笑いする中、おもしろいながらも違和感を覚えましたので、「関西弁になりきってないですよ」と後でツッコミを入れると、どうもそれも仕組まれたものだったようです。私はこの時点で木棚さんが京都出身だとは知りませんでした!例えば、「おおきに!!」なんて、若いアーチストが言いません。しかも「キタ」です。「阪急百貨店」です。言うとしたら、たぶん意図的です。私は全国の皆さんが抱いてる大阪のイメージって「ミナミ」ではないかと考えています。「道頓堀」とか「通天閣」とかミナミなんですよ。木棚さんの設定した梅田(キタ)っていうのはターミナルなわけで、それほど個性がある街ではありません。より兵庫的。つまりコテコテではないのです。だから他の地域の方々の先入観を逆手に取った作品で、それがわかってから、またこうやって考察していき、私個人は三倍楽しませて頂きました。
おまけ:プロ野球チームの「オリックス(もと阪急)」と「近鉄」の合併話が持ち上がっています。。。私にとっては、このレポートを書いててめちゃタイムリーに象徴的なニュースが飛び込んできたと苦笑しています。

以上、木葉 揺でした。

皆さん、お疲れ様でした。特にスタッフの皆さん、お疲れ様です。楽しかったです。

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