間違いなくバジル このお宅にいたんだ そっと忍び込み、状態を調べる 水が足りてない そばにあったじょうろで シャワーを浴びせる それが私の日課となった ああ、もっと良い育て主を 思い悩みながらビラを作った 「3丁目に良い香りのバジルが!」 大量に刷ったものを抱えて走る 自然に上から順に飛ばされてゆく ビラが時に私を纏う そのまま町内をただ走る とうとう最後の一枚が舞ったとき 「これで家宅侵入罪で捕まることもない」 と胸をなでおろしたけど じょうろの噴水の中 かすかに見えた虹を 空を仰いで探した 虹を探し続けた ビラだらけの町内で 疲れて 道端に座り込んだ |